「基本の原価管理術」(15の術)一般経費の中にも原価は入っている

2018.05.26

15の術:一般経費の中にも原価は入っている
 
さて、ここまでで、建設工事の原価管理の基礎はお分かりいただけたでしょうか。
「バッチリ」ですか。それは頼もしい。
では、もう一步踏み込んだ原価管理に挑んでみましょう。
 
4の術~6の術の学びで、原価は「変動費」、一般管理費は「固定費」であると理解されたと思います。
しかし、実は、一般管理費の中にも原価は入り込んでいるのです。
そこまで把握しなくては、原価管理は完璧とは言えません。
 
そのような原価の中で最も金額が大きいのは人件費です。
現場担当者が一つの工事に専任している場合は、原価の把握は難しくありません。
しかし、担当者が複数工事を担当していたり、現場から現場に渡り歩く役割の人たちの場合は簡単でありません。
また、どの現場にもついていない社員の人件費は、どう処理すべきなのでしょうか。
 
このような人たちの場合、人件費を工事別に分けることは簡単とはいえません。
様々なケースを想定して規則を定めなくてはなりません。
ゆえに、これが面倒と、工事別に分けずに一括して一般管理費で処理している建設会社が多いのが現実です。
 
しかし、会社全体の経費の中で人件費はかなりの割合を占めます。
しかも、その人たちの行動には、交通費などの別の経費が付随します。
工事に関わる人件費や付随経費は、一般管理費ではなく原価で管理すべき費用です。
それが“どんぶり”で処理されていては、他の原価を細かく管理したとしても、全体としては“ボケた”管理となります。
それで良いのでしょうか。
 
会社が、原価をシビアに管理しコストダウンに結びつけよと指示したとしても、それでは、片手落ちとなるのではないでしょうか。
やはり、適正な規準を設け、公平性の高い原価人件費の把握を実現すべきではないでしょうか。
次章以降の術で、その実践編の解説をしていきます。