「基本の原価管理術」(17の術)日報を管理する術

2018.06.09

17の術:日報を管理する術
 
人件費の配賦を行う上で必須なのが、日報管理です。
当然ですね。どの現場でどのくらい働いたのかが分からなければ配賦のしようがないからです。
同時に、働く者にとっても、自分の働いた結果を客観的に分析するデータが得られます。
多少の面倒臭さに妥協して日報管理をやっていないとしたら、損失のほうが大きいでしょうね。
現場で作業する職人および作業員の日報管理は、従来から「出面管理」として行っていると思いますが、“出面”の言葉どおり頭数の勘定しか行っていないのではないでしょうか。
実際に、作業内容ごとの時間まで書き込んだ日報を見るケースは稀(まれ)です。
 
しかし、政府が旗を振る「働き方改革」には建設業界も従わざるを得ず、建設業団体も、現場での残業規制や土日休日に取り組む姿勢を鮮明にしています。
こうした取り組みの実効が上がるまで時間がかかるでしょうが、実施に伴い工事原価が上昇することが懸念されています。
 
以前、実際の現場で、様々な職種の職人の現場作業を詳細に記録・分析したことがあります。その結果、作業時間の40~80%が、最終成果物に結びつかない作業という分析結果が出ました。
 
「そんなバカな、自分のところの職人はちゃんと働いているよ」と反論が出そうですが、勘違いしないでください。
「サボっている時間が40~80%ある」ということではありません。
実際に調査した現場でも、職人の大半は真面目に作業に取り組んでいました。
 
しかし、じゃまな材料を移動したりとか、手戻りや手直し、残材の処理、出席するだけの打ち合わせなどなど、成果物の完成に直接結びつかない仕事の割合が、上記の記録に現れたのでした。
残業規制や土日休みの前に、こうした時間を減らしていかないと、コストアップに苦しむことになります。
「生産性向上なくして働き方改革は実現しない」ことを肝に銘じるのは当然ですが、具体的な向上策を講じないと掛け声倒れに終わります。
 
作業の内容と時間数を記録する「日報管理」を行うことの大切さは理解できたでしょうか。
現代ではパソコンという武器があります。 日報管理できるソフトもあります。
こうした武器を備え、的確な日報管理で原価を把握することから始めてみませんか。