第2回:前原国交相の発言の裏を読み取る (新人類大臣?)

2009.10.21

予想どおりというか、予想以上というべきか、前原国交相の発言に建設業界は茫然自失の感がある。
補正予算の大幅削減に続き、来年度予算の大幅減(概算要求の段階で、この削減率・・)が打ち出されたが、衝撃ともいえる削減率である。
20%以上の増額を要求した厚生労働省がうらやましく思える光景である。

後を追うように、10月20日、「大型の公共土木は90%減」という驚愕の記事が業界紙に載った。
これでは、大手はともかく、公共比重の高い準大手・中堅は存続できないのではないかと思う。
少なくとも、今のままの形で建設業界が成り立つ基盤はなくなると認識したほうがよさそうである。

前原国交相が強気の発言を繰り返す裏には、「新政権の尖兵たらん」という強い自負があるものと思える。
さらにうがった見方をすれば、自らの政治的挫折のリベンジという思いもあろう。
前原氏が、偽メール事件で民主党代表を辞任せざるを得なかったことは、まだ記憶に新しい。
彼にとっては痛恨事といえるあの挫折に対する思いは強いと思われる。
もちろん、それで政策を動かしているとは思わないが、潜在的な動機となっているかもしれない。

だが、そんなことより大きな要因に目を向ける必要がある。
前原国交相が打ち出している政策の大半は、選挙のマニフェストに謳われていたことであり、民主党が圧勝した事実が政策の後押しになっていることをである。
もちろん、国民は、民主党のマニフェストの全てを無条件に支持したわけではない。

しかし、それを包括的に支持したことは事実である。

「コンクリートから人へ」という民主党のキャッチコピーは鮮烈であった。
建設業界にとっては呪詛に聞こえる言葉であるが、過半の国民にとっては福音に聞こえたのである。
これに対抗し得るコピーを、ついに自民党は用意できなかった。

「責任力」なる意味不明なコピーでは到底勝ち目はなかった と言える。