日本の未来を明るくするには(2) 【HAL通信】2014年3月31日号より

2014.11.02

経済の好循環を作るうえで何が一番の障害になるかと言えば、それは「悲観論」です。
「増税後に景気は落ち込む」「中国のバブルがはじける」「米経済も危ない」
「国債暴落」・・
悲観論のネタはたくさんあります。
悲観論的評論家は、この点だけを強調して「日本は危ない」「アベノミクス崩壊」と言います。
まあ、悲観論でメシを食っている評論家諸氏は、それで儲かるわけですが。
人の商売にけちを付けるつもりはありませんが、どこか納得できません。

それでは、楽観論のネタはないのかと探してみました。
たとえば、企業倒産数です。
東京商工リサーチの「2013年(平成25年)[1-12月] 全国企業倒産状況」を見ると、2013年の倒産件数(全企業)は、10,855社で、前年比10%減。
負債総額は、2兆7823億円で、前年比27%減でした。
上場企業に至っては、わずか3社です。
2008年には33社もの上場企業が倒れたことを思えば、隔世の感があります。

もちろん、倒産激減の直接要因は景気の回復ではなく、金融政策にあります。
日銀の大幅緩和策ばかりが喧伝されますが、中小企業に対するきめ細かな金融支援策が効果を挙げているのです。
廃止されたはずの「中小企業金融円滑化法」の実質的延長の指導や不良債権定義の緩和措置などの政策です。
評論家は、これらの政策を「ゾンビ企業の延命策」として批判しましたが、倒産を防ぐ効果があったことは数字が証明しています。
これらの効果は今年も続き、倒産件数はさらに減少すると思われます。

しかし、これ以上の政策の上乗せは害になる公算が大きくなります。
金融政策で企業を救うことは資本主義経済の本筋ではありません。
安易に政府の政策に頼る経営を助長する危険もあります。

円安による輸出系企業の業績回復、さらに株高や不動産価格の上昇によって、企業のバランスシートは確実に向上しています。
しかし、これらの要素も自力とは言えません。
駆け込みの反動で4月~5月は消費が冷え込むと思われます。
内部留保を貯めている企業や、増税分を確実に価格に転嫁できる企業は、特に問題はありませんが、
そうでない企業は苦境に陥るところも出てくるでしょう。
だが、ここを乗り切ることが本物の景気回復への道と認識し、各企業は自力強化の努力を加速させるべきなのです。
そうすれば、1年後には本物の景気回復が来るでしょう。