「基本の原価管理術」(12の術)建設会社の原価管理は特殊なのか?

2018.04.28

 
前章(11の術)で述べたように、
建設会社に対しては、法律で工事単位の個別原価計算を行うことが義務付けられています。
その意味から言えば「特殊」と言えますが、製造業でも一品毎の個別原価計算をしている会社もありますから、特殊というほどのことはないでしょう。
 
ただし、原価の内訳においては、少々特殊なことがあります。
製造業は、原価の内訳を材料費、労務費、経費の3要素に分けて管理することになっていますが、
建設業の場合は、材料費、労務費、外注費、経費の4要素に分けることになっています。
 
では、製造業には外注費はないのでしょうか?
そんなことはありません。 大半が外注費という会社もあるくらいです。
その場合、外注費を独立させた税務申告でも問題はないようです。
代わりに労務費を経費の中に入れている会社もありますが、それも問題ないようです。
要するに、製造業は3要素管理で良いということです。
 
建設業の場合、法律を作る官僚が「建設業は外注費の比率が大きい」と考えて、独立の要素としたのだと思います。
しかし、直接雇用の自社作業員で自社施工している建設会社の場合は、ほとんど外注費がありません。
それを考えると、外注費を独立させることにしたのは、総合建設業(ゼネコン)を主な対象として法律が作られたからだと思われるのです。
 
このように4要素の原価管理が義務付けられている建設業は「特殊」と言えますが、実際はそれほど特殊ではないことがお分かりかと思います。
 
ここで、少し疑問が湧きませんか。

「4要素ではなく5要素や6要素で管理しても、法的には許されるのか」という疑問です。
答えは、「良いですが、税務申告は4要素で行ってください」ということになります。
法律では、あくまでも4要素管理で行うこととなっているのです。仕方ないですね。

実際、機械の使用費用や仮設資材の費用などを独立して管理するために5要素、6要素で管理している会社も多いのですが、この場合、これらの要素を財務上では「現場経費」として仕訳する必要があります。
 
実務と法律が合わないことは、これ以外にもたくさんあります。
しかし、法治国家である日本では法律は“絶対”です。従うしかないのです。
 
それでも、「上手に法律をすり抜ければ良いのでは」と仰るアナタ。
「それはご自由に上手に行ってください・・」というしかありませんね。