第13回:レベル7への引き上げ
2011.04.13
原子力安全保安院が事故レベルをチェルノブイリと同じレベル7に引き上げたのう。
「ボケとるのか!」と言いたい。
国民はあっけに取られ、海外は不信一色じゃ。
いま、何の意図があっての引き上げなのじゃ?
ワシから特別講師に聞いてみた。
このことも含めて、特別講師に今回の引き上げについての解説をお願いした。
まず、今回のレベル7への引き上げについて、4月12日の様々な報道を垂れ流してみる。
【レベル7への引き上げ-情報垂れ流し】
■経済産業省原子力安全・保安院
「事故の深刻度を国際評価尺度(INES)の暫定評価で最悪の『レベル7』とする」と発表。
これは、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(1986年)と同レベル。
これまでに放出された放射性物質の推定量に基づく判断であることを強調。
■東京電力・松本純一原子力・立地本部長代理
「総放出量はチェルノブイリの1割程度だが、放射性物質の放出を止め切れておらず、チェルノブイリ原発事故に匹敵、または超える懸念がある」との認識を示した。
■原子力安全委員会
周辺環境の放射線量調査のデータなどから逆算して原発からの放出量を推定する手法を使って試算。
東日本大震災発生日の3月11日から4月5日までのデータを用いた場合、大気中に放出された放射性のヨウ素131とセシウム137の総量が、3月23日の時点で約10万テラベクレル(テラは1兆倍)以上になり、「レベル7」の基準である数万テラベクレルを超えた。
■専門家(だれかは不明)
「国は事故を過小評価しようとしてきたのではないか」と批判。
事故当時、フランス原子力安全局は「6」、米民間機関「科学国際安全保障研究所」も「6または7」との見解を示していたが、保安院は「健康にかかわるものでない」として、当初のレベル5を見直す姿勢は見せなかった。
なのに猪突にこの発表とは。
■政府関係者(だれかは不明・・・枝野さん?)
累積放出量の推計が出たので淡々と決めた。
根拠となる累積放出量は、3月23日に原子力安全委員会が公表したデータから10万テラベクレル(テラは1兆)以上との推計があった。ただ、当時は放射線量の計測地点が3カ所だけで、「信頼性が低い」として引き上げを見送ってきた。
その後、33カ所に増えたデータを基に改めて試算したところ、レベル7の基準を1桁も上回り、引き上げが避けられなくなった。(1桁は大げさだが・・)
■国際原子力機関(IAEA)のフローリー事務次長
福島原発と旧ソ連のチェルノブイリ原発の二つの事故は、「構造や規模の面で全く異なる」と指摘。
さらに、「チェルノブイリ原発では原子炉が爆発したが、福島第1原発は原子炉が東日本大震災後に自動停止した」と説明。
また、放出された放射性物質の量も、「福島第1原発の37万テラベクレル(テラは1兆)に対し、チェルノブイリ原発は520万テラベクレルに達した」と規模の違いを強調。
■保安院の西山英彦官房審議官
「チェルノブイリとは相当異なる」と強調。
チェルノブイリの総放出量520万テラベクレルに対し、福島は「その1割程度」。
また、前者は原子炉が爆発し広範囲に放射性物質が拡散したのに対し、福島は原子炉圧力容器や格納容器は、多少の漏れがあるが、原形をとどめて働いている。
また、チェルノブイリでは「急性の大量被ばくで29人が亡くなった」(31人などの説もある)が、福島はそうした例が「発生していない」と強調。
■ロシア国営原子力企業ロスアトムのノビコフ広報局長
保安院の発表したレベル7は、「行き過ぎ」との見方を示した。
「原子炉の損傷程度はレベル5を超えていない」と指摘。
今回の評価変更は「政府がこれ以上批判されるのを避けようとする政治的思惑が働いた」と述べた。
■仏放射線防護原子力安全研究所(IRSN)のグルメロン放射線防護局長
「福島の事故は極めて深刻だが、チェルノブイリの事故と現時点で同じではないし、今後もそうだ」と述べ、同じレベル7のチェルノブイリ原発事故に匹敵するわけではないとの見解を示した。
■米紙ニューヨーク・タイムズ(原発危機管理専門家マイケル・フリードランダー)
「これだけの量の放射性物質が放出されたことを公的に認めるまで、1か月もかかったのは驚き。
■米サンディエゴ州立大のマレー・ジェネックス准教授
「福島第一原発では炉心の封じ込め機能が維持されている」と強調。
炉心がむき出しになったチェルノブイリの水準には達していないとの見解。
■AFP通信
IRSNは福島の事故について、チェルノブイリ事故と比べ、漏れた放射性物質の量が少ない上、汚染地域も限られていると指摘。原発周辺の住民避難や農作物の出荷制限も、チェルノブイリ事故より迅速に行われたとしている。
【レベル7への引き上げ-地元の声】
■福島県飯舘村(計画的避難区域に指定)の会社員、長島光宏さん(26)
「いまさら引き上げても引き上げなくても、まだ事故は収まっていないし、村の放射線量は高いまま。その上、計画避難の話が持ち上がって非常に先が見えない状況に不安を感じる。いつになったら村で安全に住めるようになるのか」と不安を訴えた。
■飯舘村の無職、庄司開さん(61)
「安全だと言い続けてきて今度は想定外と言い続けている。はらわたが煮えくりかえる思いだ。この事故で何百万人もの人に迷惑をかけているのに、今さらごめんなさいでは済まない。2度目の爆発のときからものすごく大変なことになっているというのは分かっていたはず。村は振り回されているし、俺たちも相当被曝(ひばく)していると思う」と怒りをぶちまけた。
■飯舘村の林さい子さん(44)
「引き上げは現実なので、それを受け止めるしかない。レベル7に引き上がったから、何か変わるわけではない。騒いでもどうしようもない」
■県川俣町(計画的避難区域に指定)の主婦、佐藤寛子さん(38)
「チェルノブイリと同じレベルと聞いても、何が同じなのか分からず、ぴんとこない。政府はもっと丁寧に説明してほしい」と当惑気味に話した。
■福島市の観光関連会社社員・根本隆司さん(55)
「ショックです。世界中の人々が福島とチェルノブイリを同じ目で見るようになり、観光客が誰も来なくなったり、福島県人が差別されたりするのが心配」と不安げな表情を浮かべた。
【レベル7への引き上げ-私の見解】
先に紹介した意見の中にもあったが、今回のレベル7への引き上げは、政治的配慮という意味合いが強いように思う。
4月12日の時点で、放射性物質の放出量は、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の約1割である。
にもかかわらず、最高レベルに引き上げた理由として、保安院、東電とも、「原子炉内に残っている放射性物質が100%大気に放出された場合にはチェルノブイリ事故を超える懸念があるから」と言っている。
まことに変な算数をしているとしか言いようがない。
これまでの放出量の10倍で、チェルノブイリ原発事故と同レベルになるのである。
ところが、現在、福島第1原発内には、これまでの放出量の250倍の放射能を持つ放射性物質が残されている。
「原子炉内に残っている放射性物質が100%大気に放出された場合」は250倍放出されるのである。
10倍<250倍だから、「超える懸念がある」のではなく「超える」と言うべきなのだ。
つまり、「原子炉内の放射性物質が全て放出された場合を想定して・・」などと言い出したら、世界中の全ての原発はレベル7である。
こんな子供だましの理由で引き上げを発表するのは、
「これ以上悪くなりようがないレベルに引き上げておけば、最悪の事態になっても自分たちが非難されることはない」という心理なのであろう。
逆に、レベル7と言っておいて、このまま事態が収まった場合は「よかったね!」で済む。
「大げさだった!」とチクリと言われるであろうが、逆よりは良いと考えたのであろう。
しかし、こんな発表を出しても現実は何も変わらない。
これからの現場の努力の必要性も変わらない。
日本中はおろか、世界から、不信と「ばかだな」と思われるだけである。
私は、こんな発表は「百害あって一利なし」と断定する。
【放射性物質の放出は止まらないのか?】
3月15~16日にかけて放射性物質の放出総量が跳ね上がった。
安全委は15日に爆発があった2号機の圧力抑制室の損傷で、大量の放射性物質が放出された結果と見ていた(37万テラベクレルの放出量の大半は、この時のもの)。
それ以降は、大幅な増加はない。
新たな爆発等がなければ、外部に出る放射性物質は、微増レベルであろう。
12日に東電が公表した推計によると、
1~6号機で生成された放射能値は、
3月11日:7億2千万テラベクレル
4月11日:1億5千万テラベクレル
核反応が停止していれば、1ヶ月でこのくらい減少するのである。
かつ、外部への放出量は、最大時(3月15日)の
1万分の1まで低下したとみられている。
汚染水等へ漏れ出した場所は2号機の格納容器につながる圧力抑制室内の損傷した箇所であることがほぼ特定出来ている。
新たな爆発や損傷を防ぎながら自然減衰を待ち、人が長時間立ち入れる状況になったら、放射能の封じ込めを本格化させる。
東電や安全委は、こんなシナリオでいるのであろう。
これはこれで良い。
ならば、なぜ「レベル7」と言い出したのか。
「わが身の保全」という以外、理解できない。
【ついにストロンチウムが検出されたが】
文部科学省は12日、福島県飯舘村、浪江町など6市町村の土壌、雑草から微量の放射性ストロンチウムが検出されたと発表した。
ストロンチウム90は、内部被曝すると、骨髄のカルシウムを押しのけ、そこに入り込む。
白血病を引き起こす恐れがあると言われるのは、このためである。
今回、最も検出量が高かったのは飯舘村で、土壌1kgあたり32ベクレルであった。
しかし、この程度の微量であれば、人体への影響はないと言ってよい。
もう一つの懸念は、「ストロンチウム90は核反応によって生成されるものなので、炉心が再臨界を起こしている証拠だ」という意見である。
それは間違ってはいないが、今回の検出は過去の生成物である可能性も高い。
いたずらに騒ぐことなく、この先の調査を継続して確かなデータを積み上げていくことが肝心である。
【やはり、人体への影響が心配なのだが?】
枝野官房長官の口癖となった感がある『人体には、すぐには影響はない』というフレーズ、
何度も聞いているうちに、『じゃ~、いずれ影響があるのか?』と突っ込みたくなってくる。
そんな感じを持っている人も多いであろう。
枝野さんは、懸命に勉強されておられるようだが、失礼ながら素人である。
自信がないから「影響はない!」と言い切れない。
私が代わりに答えるならば、
「現段階までの検出量ならば、全く影響は出ない」と言い切る。
政府広報や報道では、「暫定規制値」なる珍妙な名称の数値が大手をふるっている。
たとえば、
「自然から浴びる線量を除き、一般人が年間に浴びてよい放射線量は1ミリシーベルト以内」という暫定規制値がある。
この前段の「 自然から浴びる線量を除き 」がクセモノなのである。
自然界から浴びる放射線量は、場所によってかなりばらつきがある。
日本では平均「2.4ミリシーベルト」と言われているが、世界では10ミリシーベルトを超える場所もある(100近い場所もあると聞くが、確認していない)。
しかし、その地方で、かくべつにガン患者が多いという報告はない。
つまり、(2.4~10)というバラツキより小さな値(1ミリシーベルト)で規制を掛けているという、まことに珍妙な規制なのである。
それでいて、放射線医学の臨床例では、年間100ミリシーベルト以下の被曝での健康被害例は無いと言い切っているのである。
中には、1000ミリシーベルト(1シーベルト)でも大丈夫と主張する医学者もいる。
つまり、1ミリシーベルトという規制値になんの意味があるのか?
「全くない」のである。
きっと、「だから、『暫定』なんだよ」ということなのであろう。
自身の被曝体験から、私は年間で3000ミリシーベルト、時間当たりの最大で500ミリシーベルト以下なら大丈夫と思っている。
だから、福島県の人は勿論、原発周辺の人たちにも、何らの障害も出ないと断言する。
普段どおりの食物を食べ、普段どおりの仕事をし、普段どおりの生活をすべきである。
また、原発内で作業しておられる人たちも、全く大丈夫である。
(浴びた放射線量の記録をきちんと付け、累積で1000ミリシーベルト程度以下ならばの条件で)
【質問への回答-3】
質問:京都大学原子炉実験所の小出裕章助教が『1号炉で再臨界が起きている』と言っています。
本当なのでしょうか。
回答:この質問は、何人もの方からいただきました。
ネットで以下の記事が流された結果だと思います。
『原子力安全・保安院は、8日、福島第一原発一号機の原子炉格納容器内の放射線濃度が、毎時100シーベルトに上昇したことを明らかにした。
これは前日に比べて、3倍以上も高い放射線濃度にあたり、同炉内の温度と圧力も上昇しているという。
京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は、放射濃度の急上昇に加え、原子炉の温度や圧力の急上昇していること、更に塩素が中性子に反応して生まれるクロル38という塩素が原子炉内で発見されたことなどから、炉内で再臨界が起きている可能性が高いと指摘する。』
この記事に関して、ネット上での議論が沸騰しているようですので、次回、少し詳しく解説したいと思います。
今回は簡単にコメントしておきます。
小出教授は立派な先生ですので、ウソを言っておられるわけではありません。
また、「1号炉で臨界が起きた」と断定されているわけでもありません。
「1号機の格納容器内の放射線濃度が、4月8日、突然、毎時100シーベルトという高い値を示した。さらに、クロル38が検出された」ことで、
『再臨界が起きている可能性が強まった』と言っておられるのです。
また、「異常値は、計器の故障という可能性もあるが」と言っておられます。
私も、全く同意見です。
ですが、たとえ再臨界が起きていたとしても、小規模・短期間であり、原子炉爆発(圧力容器の爆発的破壊)につながるものではない、と思っています。
続きは次回に!
【各号機の危険度】
下表に、4月13日現在の各号機ごとの状況を示す。
ただし、報道や広報からの推定であることを断わっておく。
1~3号機とも、危険状態から脱しているとは言えない。
海外メディアはかなりヒステリックになっておるようじゃ。
まさに「風評被害」と思えるのじゃが、以下の記事をどうみるかの?
■ニューヨーク・タイムズ
「日本人はどこまで政府や保安院、東京電力の言葉を信用しているのか。座して死を待つかのような日本人の対応はおかしい。」
■フランスのテレビ番組での、日本在住フランス人
「ニュースでは“何の心配もいらない、大丈夫だ”と繰り返している。必要なインフォメーションは何もない。バラエティー番組を見て笑い転げている場合か?」
■日本滞在経験があり、いまはパリに住むフランス人女性
「東京は福島からそう遠くないのに、サラリーマンは“まだ大丈夫”という意識で働き続けている。我慢強いのかもしれないが、仕事は生きるためのものでしょう? 命を落としてまで働こうなんて誰も思わない。放射能の危険にさらされても逃げないなんて、欧米人の感覚からは信じられません」
韓国のネットなどでは、「日本に損害賠償を要求すべき」とエスカレートしとるようじゃ。
なんとも言えんな。
なかなか、予告の「ほんとに想定外だったのか」などの解説が出来んが、まあ勘弁してくれ。
次回は、特別講師に、1号炉の問題を論じてもらうつもりじゃ。
3月15~16日にかけて放射性物質の放出総量が跳ね上がった。
安全委は15日に爆発があった2号機の圧力抑制室の損傷で、大量の放射性物質が放出された結果と見ていた(37万テラベクレルの放出量の大半は、この時のもの)。
それ以降は、大幅な増加はない。
新たな爆発等がなければ、外部に出る放射性物質は、微増レベルであろう。
12日に東電が公表した推計によると、
1~6号機で生成された放射能値は、
3月11日:7億2千万テラベクレル
4月11日:1億5千万テラベクレル
核反応が停止していれば、1ヶ月でこのくらい減少するのである。
かつ、外部への放出量は、最大時(3月15日)の
1万分の1まで低下したとみられている。
汚染水等へ漏れ出した場所は2号機の格納容器につながる圧力抑制室内の損傷した箇所であることがほぼ特定出来ている。
新たな爆発や損傷を防ぎながら自然減衰を待ち、人が長時間立ち入れる状況になったら、放射能の封じ込めを本格化させる。
東電や安全委は、こんなシナリオでいるのであろう。
これはこれで良い。
ならば、なぜ「レベル7」と言い出したのか。
「わが身の保全」という以外、理解できない。
【ついにストロンチウムが検出されたが】
文部科学省は12日、福島県飯舘村、浪江町など6市町村の土壌、雑草から微量の放射性ストロンチウムが検出されたと発表した。
ストロンチウム90は、内部被曝すると、骨髄のカルシウムを押しのけ、そこに入り込む。
白血病を引き起こす恐れがあると言われるのは、このためである。
今回、最も検出量が高かったのは飯舘村で、土壌1kgあたり32ベクレルであった。
しかし、この程度の微量であれば、人体への影響はないと言ってよい。
もう一つの懸念は、「ストロンチウム90は核反応によって生成されるものなので、炉心が再臨界を起こしている証拠だ」という意見である。
それは間違ってはいないが、今回の検出は過去の生成物である可能性も高い。
いたずらに騒ぐことなく、この先の調査を継続して確かなデータを積み上げていくことが肝心である。
【やはり、人体への影響が心配なのだが?】
枝野官房長官の口癖となった感がある『人体には、すぐには影響はない』というフレーズ、
何度も聞いているうちに、『じゃ~、いずれ影響があるのか?』と突っ込みたくなってくる。
そんな感じを持っている人も多いであろう。
枝野さんは、懸命に勉強されておられるようだが、失礼ながら素人である。
自信がないから「影響はない!」と言い切れない。
私が代わりに答えるならば、
「現段階までの検出量ならば、全く影響は出ない」と言い切る。
政府広報や報道では、「暫定規制値」なる珍妙な名称の数値が大手をふるっている。
たとえば、
「自然から浴びる線量を除き、一般人が年間に浴びてよい放射線量は1ミリシーベルト以内」という暫定規制値がある。
この前段の「 自然から浴びる線量を除き 」がクセモノなのである。
自然界から浴びる放射線量は、場所によってかなりばらつきがある。
日本では平均「2.4ミリシーベルト」と言われているが、世界では10ミリシーベルトを超える場所もある(100近い場所もあると聞くが、確認していない)。
しかし、その地方で、かくべつにガン患者が多いという報告はない。
つまり、(2.4~10)というバラツキより小さな値(1ミリシーベルト)で規制を掛けているという、まことに珍妙な規制なのである。
それでいて、放射線医学の臨床例では、年間100ミリシーベルト以下の被曝での健康被害例は無いと言い切っているのである。
中には、1000ミリシーベルト(1シーベルト)でも大丈夫と主張する医学者もいる。
つまり、1ミリシーベルトという規制値になんの意味があるのか?
「全くない」のである。
きっと、「だから、『暫定』なんだよ」ということなのであろう。
自身の被曝体験から、私は年間で3000ミリシーベルト、時間当たりの最大で500ミリシーベルト以下なら大丈夫と思っている。
だから、福島県の人は勿論、原発周辺の人たちにも、何らの障害も出ないと断言する。
普段どおりの食物を食べ、普段どおりの仕事をし、普段どおりの生活をすべきである。
また、原発内で作業しておられる人たちも、全く大丈夫である。
(浴びた放射線量の記録をきちんと付け、累積で1000ミリシーベルト程度以下ならばの条件で)
【質問への回答-3】
質問:京都大学原子炉実験所の小出裕章助教が『1号炉で再臨界が起きている』と言っています。
本当なのでしょうか。
回答:この質問は、何人もの方からいただきました。
ネットで以下の記事が流された結果だと思います。
『原子力安全・保安院は、8日、福島第一原発一号機の原子炉格納容器内の放射線濃度が、毎時100シーベルトに上昇したことを明らかにした。
これは前日に比べて、3倍以上も高い放射線濃度にあたり、同炉内の温度と圧力も上昇しているという。
京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は、放射濃度の急上昇に加え、原子炉の温度や圧力の急上昇していること、更に塩素が中性子に反応して生まれるクロル38という塩素が原子炉内で発見されたことなどから、炉内で再臨界が起きている可能性が高いと指摘する。』
この記事に関して、ネット上での議論が沸騰しているようですので、次回、少し詳しく解説したいと思います。
今回は簡単にコメントしておきます。
小出教授は立派な先生ですので、ウソを言っておられるわけではありません。
また、「1号炉で臨界が起きた」と断定されているわけでもありません。
「1号機の格納容器内の放射線濃度が、4月8日、突然、毎時100シーベルトという高い値を示した。さらに、クロル38が検出された」ことで、
『再臨界が起きている可能性が強まった』と言っておられるのです。
また、「異常値は、計器の故障という可能性もあるが」と言っておられます。
私も、全く同意見です。
ですが、たとえ再臨界が起きていたとしても、小規模・短期間であり、原子炉爆発(圧力容器の爆発的破壊)につながるものではない、と思っています。
続きは次回に!
【各号機の危険度】
下表に、4月13日現在の各号機ごとの状況を示す。
ただし、報道や広報からの推定であることを断わっておく。
1~3号機とも、危険状態から脱しているとは言えない。
海外メディアはかなりヒステリックになっておるようじゃ。
まさに「風評被害」と思えるのじゃが、以下の記事をどうみるかの?
■ニューヨーク・タイムズ
「日本人はどこまで政府や保安院、東京電力の言葉を信用しているのか。座して死を待つかのような日本人の対応はおかしい。」
■フランスのテレビ番組での、日本在住フランス人
「ニュースでは“何の心配もいらない、大丈夫だ”と繰り返している。必要なインフォメーションは何もない。バラエティー番組を見て笑い転げている場合か?」
■日本滞在経験があり、いまはパリに住むフランス人女性
「東京は福島からそう遠くないのに、サラリーマンは“まだ大丈夫”という意識で働き続けている。我慢強いのかもしれないが、仕事は生きるためのものでしょう? 命を落としてまで働こうなんて誰も思わない。放射能の危険にさらされても逃げないなんて、欧米人の感覚からは信じられません」
韓国のネットなどでは、「日本に損害賠償を要求すべき」とエスカレートしとるようじゃ。
なんとも言えんな。
なかなか、予告の「ほんとに想定外だったのか」などの解説が出来んが、まあ勘弁してくれ。
次回は、特別講師に、1号炉の問題を論じてもらうつもりじゃ。