第21回:原爆の作り方教えましょうか?

2010.02.28

今回の物騒なテーマには、驚いておろう。
このところ、まじめに歴史を語ってきたせいか、少々、肩が凝ったでのう~。
そこで、きょうは、荒稽古でいくことにしたのじゃ。
心して、稽古に臨め!


日本人は、広島・長崎の悲劇を経験したせいか、
原爆はおろか、原子力発電所にも拒否反応を示すの~。
だが、ここは脳内道場じゃ!
平和論争をしたいのではない。
脳を鍛える稽古をする場じゃ。
よいな、原爆という言葉に揺すぶられるようでは、修行が足らんぞ!

では、最初に原爆の基礎知識を勉強するとしよう。

材料別に分類すると、ウランを使うものとプルトニウムを使うものとに分けられる。
広島に落とされたのはウラン型、長崎はプルトニウム型ということは知っておろう。
ウラン型は、濃縮度90%(最低70%以上)という高濃縮ウランを必要とする。
原子力発電所で使うウラン燃料は、濃縮度3%前後の低濃縮燃料じゃ。
ゆえに、そのままでは原爆に流用はできんわな。
この濃縮という工程はかなりやっかいでのう、時間と費用がべらぼうにかかるのじゃ。
その点、プルトニウムは手っ取り早い。
原発で使用した後の「使用済み核燃料」を再処理すると、抽出できるからじゃ。

さて、ここまで知識を得たところで質問するぞ。

もし、日本が原爆を作るとすると、どっちの型になるかな?

「そんなこと、考えてもいけない!」だと・・・

渇! (久しぶりじゃな)

脳を鍛える稽古をしているのじゃぞ。
道徳論争や平和論争をしているのではない。
「原爆」のような心を揺さぶられるテーマだからこそ、脳が鍛えられるのじゃ。
そのように乱れされた心を「邪心」というのじゃ。


答えは、簡単じゃな。
「プルトニウム型」に決まっておる。

高濃縮化の設備を持たない今の日本では、ウラン型は作れない。
一方、原発を稼動し続けたことで、プルトニウムはたくさん溜まっている。
原爆の燃料は、たくさんあるのじゃ。

断っておくが、わしは、原爆を作れと言っておるわけではないぞ。
だが、諸外国は、そうは見ていない。
「これだけのプルトニウムを溜め込んだ日本は、いつか・・・」とな
プルトニウムがそれだけ溜まっているという事実が、そうさせるのじゃな。
これが人間心理というものなのじゃ。
このプルトニウムは猛毒でもあり、保管が大変な負担になってきている。
そこで、このプルトニウムを燃料にする原発が考えられた。
それが、「もんじゅ」という高速増殖炉なのじゃ。
今は停止している、この新型原発を再稼動させることがニュースになっている。
それが良いか悪いかは、別の機会に論じよう。

では、次の問題じゃ。

イランの核疑惑が国際問題化していることは知っておろう。
欧米は、「イランは原爆を作ろうとしている」と言って非難している。
その証拠に濃縮度20%のウラン製造に踏み切ったではないか、と言っている。

では、この濃縮度20%のウラン燃料で原爆は作れるかな?

どうかな、そこのあなた、答えてみよ!

「そうじゃ、無理なのだ」

では、欧米はなんで騒ぐのかな?

これは簡単な理屈だ。

20%の技術があれば、やがて70%も作れるという理屈じゃな。
また、原発用ならば20%ウランは必要ないはず、ということもある。
イランの意図は、正直言って分からんので、横に置く。
では、イランは、プルトニウム型は作れないのか?

ちょうど1年前、イランはロシアの協力で、第1号の原発の稼動を開始した。
順当に運転されれば、やがて、プルトニウムを含んだ使用済み核燃料が溜まることになる。
しかし、使用済み燃料の再処理施設を持たないイランは、自力でプルトニウムを抽出することは出来ない。
また、プルトニウム型は製造が非常に難しい。
ロシア等が協力しない限り、プルトニウム型は作れない、となるな。

どうじゃな。
このような基礎知識を得て、イランの核疑惑問題を見た感想は?
ずいぶん違って見えてこよう。
これが、脳を鍛えるということなんじゃよ。

では、もう一つ、違う視点から原爆を見てみようかな。

そもそも、原爆の構造・原理はどうなっているかじゃ。
米国の普通の大学(一流でなくても、という意味らしい)の化学学科を
普通の成績(これも、どのくらいか分からないが)で卒業した者なら、
原爆を設計できる、と言った人がおる。
そのくらい、原爆は簡単に作れるということらしい。

では、問題だ。
問題1:原爆はどのような原理で爆発するのか?
問題2:原子力発電所は、原爆のように爆発しないのか?

これは、次回までの宿題じゃ!
次回の稽古までには、答えを作っておくよ