「基本の原価管理術」(5の術)固定費

2018.03.10


さて、ここで言いたいことがあります。
 
御社の固定費は本当に固定費なのでしょうか。
 
固定費は、売上に関係なく“固定的”にかかる経費ということですが、「売上と関係ない」というところが引っかかりませんか。
固定費も、売上を上げるために必要な経費と考えると、固定費も広い意味での「原価」なのではないでしょうか。
 
私は、経営指導や原価管理指導を行った会社から、「うちの社屋は自社所有だから経費がかからない」と言われたことが何度かあります。
そうですね。

財務会計からいえば、社屋は「固定資産」ですし、発生する主な経費は「減価償却費」ですから、社外に出るおカネは固定資産税と修繕費くらいです。
「経費がかからない」が間違っているわけではありません。
 
では、この社屋を売却して賃貸ビルに移った場合はどうでしょうか。
一転して「家賃」という経費が発生します。

 
それでも、「資産が圧縮される」、「減価償却費が減る」、「不動産所有の税金や経費が減る」という利点が生まれます。
何より、かなりの額の運転資金が無利子で手に入ります。
「もしかしたら、売ったほうが会社にとってプラスが大きいかもしれない」と思ったことはありませんか。
「冗談じゃない。社屋を売れるか」と怒るのは後にしてください。
必ずしも「売ったほうが良い」と言っているわけではありません。
「聖域なしに固定経費を見直しませんか」という提案に過ぎません。
 
実際に、業績が良くても、本社屋を持たない、あるいは売却した企業もあります。
逆に、苦境に追い込まれながら、社屋所有にこだわり消えていった企業もあります。
 
このように、固定費も原価と考えるのが企業の基幹業務管理の本筋です。
でも、本シリーズは原価管理術の「基本編」です。
固定費を原価管理で管理する「術」は、別のシリーズ(先鋭原価管理術など)で解説するとして、本シリーズでは、工事の「原価」に限定して解説することとします。