日本の未来を明るくするには(9) 【HAL通信】2014年10月31日号より

2014.11.09

アベノミクス第三の矢「成長戦略」が怪しくなってきています。
インフレ率2%の目標達成は、もはや無理との声も強くなっています。
でも、政府・日銀は強気の見通しを崩していません。
どうしても消費税10%を実現したいからです。

首相の気持ちとは裏腹に、景気にはすでに黄色信号が点滅し出しています。
建設需要は、9月で早くもダウンのきざしを見せています。
特に民間の落ち込みが大きいです。

建設経済研究所と経済調査会は、2015年度の建設投資額を3.2%減の45.9兆円と発表しました。
日建連の中村会長は、「景気好転の期待から年度トータルでは前年並みが確保できるのでは」と述べていますが、それは長期の大型案件が多い大手の話です。
大手が前年並を達成すると仮定するならば、中小建設業の落ち込みは3.2%減では済まないということになります。

安倍首相は氷バケツでもかぶって、頭を冷やして冷静になって欲しい。
裏付けの乏しい「強気の見通し」の発表は、かつての「大本営発表」とダブってみえます。
まして、税制の歪みを放置したままの増税が良い結果を生むはずがありません。

安部首相は、増税よりも“公約”を全力で実行して欲しい。
まずは、国民に約束した国会議員の定数削減の早期実現です。
最近の首相は、この課題に関しては「知らん顔」です。
それは、無責任過ぎませんか。

それと並行して実現すべきは、新しい経済を作る障害になっている規制の撤廃です。
ITや科学の発達は、10年前には想像も出来なかった製品やサービスを生み出しています。
これからも、どこで、どんな技術が生み出されるか、わかりません。
その動きを加速させるために必須なのが、全面的な規制改革なのです。
さまざまな人が、さまざまなチャレンジができるような社会・仕組みの中からイノベーションは生まれるのです。

首相は自らを「岩盤規制を崩すドリルになる」と宣言しました。
あの決意はどこへいったのでしょうか、今では影すら見えません。
あの宣言こそ「第三の矢」の扉なのにです。
まだ内に秘めていると思いたいですが、秘めたままでは何も変わりません。
勇気を持って扉を開けて欲しいものです。

この2つを実行に移さない限り、日本の将来は明るくなりません。