日本の未来を明るくするには(1) 【HAL通信】2014年3月3日号より

2014.11.01

安倍政権に変わって1年3ヶ月しか経っていないのですが、もっと長かったように感じます。
そのくらい、変化の度合いを大きく感じる1年3ヶ月だったと思います。
では、実際のところ、安倍政権になって何が変わったのでしょうか。
真っ先に上げられるのは、アベノミクスと称される「インフレ経済への転換誘導政策」です。
でも、もっと本質的なことを考えてみる必要があります。
断言しますが、前の民主党政権はアンチ・ビジネス政権だったのです。
これをビジネス政権に転換したことこそ、安倍政権の唯一にして最大の成果です。
自民党時代を含めて、ここ数年の政権がデフレ脱却に及び腰だったのは、デフレ経済のほうが安定するからです(実際は、じりじり下降していくのですが、変化が緩くてその悪化が見えないのです)。
インフレは、低所得階層を直撃します。デフレはこの階層にはプラスに働きます。
しかし、ビジネス社会にはネガティブに働きます。
それを分かっていながら放置してきたのが、過去数年の政権だったわけです。
ところが、この流れを安倍政権が変えたのです。
それだけの話です。

日本のように、これだけ成熟し、かつグローバル化した経済のもとでは、国の経済政策などといっても、たいしたことは出来ません。
国が経済成長に直接関われる領域など、ほんの数%しかないのです。
短期的な効果なら、金融緩和と景気刺激策ぐらいしかありません。
安倍首相が、第一の矢、第二の矢と言っている政策ですが、別に独創的でもなんでもなく、「当り前」の策に過ぎません。
でも、あれだけ大々的に実行した勇気は賞賛されるべきです。
「当り前」のこと当り前に実行することが一番難しいからです。

さて、最大の問題の「第三の矢」ですが、長期的な効果を狙う政策であることは誰もが分かっています。
そして、これも常識ですが、国家の政策としては、規制改革と規制緩和しかないのです。
しかし、これらの策は、金融緩和や景気刺激策とは異なり、痛みを伴う政策です。
ゆえに必ず反対や抵抗に会います。
安倍首相が、いみじくも「岩盤規制」と呼ぶくらい強固な壁です。
だから、即効性はないのに大変な努力を継続するという我慢と時間が必要です。
それなのに、特に安倍政権に批判的なマスコミは、「即効性に乏しい」と批判します。

さらに、第一の矢も第二の矢も効果が薄くなっていると批判しています。
しかし、読者の方は、上述の解説を読むまでもなくお分かりだと思います。
これらマスコミの批判は、経済政策の転換に伴い当然に起こることを、さも安倍政権の失政であるかのような書き方をしているわけです。
これは卑劣な論法ですし、マスコミ関係者の能力、見識を疑いたくなります。

断っておきますが、私は安倍政権の擁護をしているわけではなく、国家の経済政策のごく初歩の話をしているに過ぎません。
本当に言いたいことは、次のことです。
アベノミクスの第三の矢は、あくまでも間接的な効果しか生みません。
規制改革を実行したところで、ビジネス上の画期的なイノベーションが自動的に生まれるわけではないのです。
しかも、中国のような独裁政権ではない日本の政権は、180度規制を変えることなど出来ません。

話は違いますが、集団的自衛権をめぐる憲法解釈を変えようと言っただけで、あれだけの騒ぎになるのです。
経済を大転換させる速攻政策など打てるはずもないのです。

自由経済国家である日本でイノベーションを起こせるのは、民間企業です。
だから、どんな政策を打とうと、果たしてイノベーションが起きるかどうかはわからないし、まして即効性などあるはずもないのです。
アメリカでITが経済を引っ張りだしたのは1990年台ですが、1980年代の(連邦政府の政策による)AT&T分割がその発端と言われています。
つまり、政策の成果が出始めるのに、10年以上の時間がかかったのです。
その間、分割がもたらした効率の悪さばかりが非難されたのです。