日本の未来を明るくするには(8) 【HAL通信】2014年9月30日号より

2014.11.08

ドイツは、新規国債発行額をゼロにする「2015年予算案」を閣議決定しました。
毎年40兆円の新規国債発行を続けている日本からみると、うらやましい限りです。
ですが、国債残高が0になるわけではありません。
あくまでも新規発行額が0という話です。

日本が目標にしている「2020年に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字にする」と同じ意味です。
日本の場合、この目標達成はまず困難ですが、ドイツが達成できたのは、以下の理由によります。

まず、低失業率と安定成長が過去最高の税収につながったこと。
さらに、低金利で連邦債務の利払いなどが大きく減少したこと。
この2つが理由です。

これを日本に当てはめてみれば、日本政府の取るべき政策の参考になるはずです。

まず、低金利ですが、これはドイツと同様、すでに出来ています。
失業率もずいぶんと改善されていますが、正規雇用の比率改善が不十分です。
正規雇用の改善を軸に、給与所得者の所得を増やしていけば、必然的に税収は向上します。
同時に、課税最低限度額の引き下げ等により徴税の公平性を上げることも必要です。

なにより経済の安定成長が一番であることに異論を挟む方はいないと思います。
なんども言っていますが、アベノミクスの第三の矢「成長戦略」は、この実現のための戦略のはずです。

ところが安倍政権は、一方で、増税路線に傾いています。
税の公平性を正すことは必要ですが、単純な増税では財政再建が出来ないことをドイツの成功例は示しています。

税収増は、税率上げではなく、時間はかかっても経済の安定成長で果たすべきです。

アベノミクスの第三の矢と税率上げの増税は矛盾します。
安部首相は、そこが分かっておられるのか、危惧するところです。