第4回:3月18日現在

2011.03.18


現状が気になっている人が多いだろう。
18日現在の様子を特別講師に解説してもらう。

 
18日の報道から、現在の様子を解説する。

【小出し発表の弊害】

安全と思われていた5、6号機の燃料プールの温度上昇が公表された。
この2機は、1~4号機から少し離れた場所に建設されているので、影響はないと思われていたが、
通常30℃のプールの水温が60℃以上に上がっている模様。
この2機も電源が断たれている可能性がある。
注水が保たれているかの情報は不明。
注水が出来ていても、熱を取り除く熱交換器が作動せず、水温上昇が起きている可能性がある。
さらに、6400本もの使用済み燃料棒が保管されている共用プールの冷却装置も動いていないとか。

これだけ小出しに悪材料の報道が入ってくることは、国民の不安感を一掃助長する。
「政府発表も東電発表も信用できない」というレベルに近づいているのではないか。
全ての情報が一元的に集まり、正確な分析結果を広報するという危機管理体制が、政府にも東電にも無いのではないか。
そこが大きな問題となりつつある。



 
【3号機の現状】

現在、最も危険度が高い炉。
写真では建屋の上部は完全に破壊されたが、鉄筋コンクリート部分は原型を保っている模様。
格納容器の損傷は、この映像からは全く不明。厚さ2mの鉄筋コンクリート製なので、破壊は免れていると思うが、断定はできない。
立ち上る水蒸気は燃料プールから。水が激しく沸騰している様子がうかがえる。
注水の効果が不明なため、燃料棒の完全溶融が心配される。
たとえ電源が回復しても、注水機能をどうやって回復するかの方策が見えない。
その方策さえ作れない状況なのかが心配である。



写真:東京電力提供




 
【4号機の現状】

横から撮った映像のようである。燃料交換装置が見える(緑色の機械)。
ここからは燃料プールが見えないが、真上から撮った映像ではかすかに水面らしいものが見える。
それが水面であれば、燃料棒はプール内で水没していると考えられる。
一時的にせよ、危険度は下がったようである。

写真:東京電力提供







【他の号機は大丈夫なのか?】

1、2号機は電源の再確保が可能なようなので、電源確保が出来れば危険な状態は脱することが出来るであろう。
安全なはずの5、6号機でも燃料プールの水温上昇が認められた。
放置はできないが、こちらも電源確保次第である。
3号機の放水の影響で電源敷設作業が遅れているようだが、なんとか確保しないと他も危なくなる。






【共用プールも危険?】

東電は17日に、4号機の隣にある共用プールの水温や水位を計測するデータが取れないことを公表。
放射能値が高くて人が近づけないため、詳細は不明とのこと。
この情報の小出しが事態をどんどん悪化させているように思う。
共用プールに納められている使用済み燃料は、核反応を停止してからかなりの日数が経っているので、危険度は低いと思われるが、冷却水が失われる事態になれば、そうも言ってはいられない。
早期の情報収集が求められる。





【終息は可能なのか?】

現場は疲弊しきっているであろう。
彼らの気力、体力、被曝量が限界にきていることは想像できる。
しかし、今は現場が頼りである。
一方、東電本社が現場に的確な指示を出せているのか、不安である。
早急に交代チームを編成し、現場の交代をしなければならないと思うが、その報道はない。
放射線量が減ってきているとの報道もあるので、今後の努力に期待するしかない。
それももどかしい話ではあるが。