「基本の原価管理術」(11の術)総合原価計算と個別原価計算

2018.04.21

ここで原価計算方法の原点に戻って考えてみましょう。
原価計算には大きく分けて、総合原価計算個別原価計算2種類の方法があります。
 
製造業の大半は「総合原価方式」で原価を計算しています。
商品を流れ作業で大量に生産し、出来た商品を流通の仕組みの中で販売していく商売の形態では、そもそも個別原価計算など出来ません。
しかし、“総合”といっても、何でもかんでも“ごった煮”の「どんぶり勘定」で良いという訳にはいきません。
製品として完成した商品の数量に見合う材料の費用や経費を、税務調査に耐えられる客観的な証拠(これを「エビデンス」と言います)に基づき計算する必要があります。
生産ラインに投入しても完成した製品になっていない材料などは、「仕掛品」として原価ではなく、資産として経理計上しなくてはなりません。
この仕訳を適切に行っていないと、税務調査で指摘を受けて是正命令を受けます。さらに、長年このような処理をしていると、悪質とみなされ、加算税や重加算税が課されることになります。
 
一方、建設成果物に対しては、一品ごとの原価を把握する「個別原価方式」で原価を計算することが法律で義務付けられています。

つまり、総合原価方式を選択することは出来ないのです。
建設会社に入社したばかりの方は、この点だけは頭の中に叩き込んでください。
 
「でも、製造業だって、個別に受注した注文品を一品ずつ作って個別に納品している会社もあるだろう」ですか。
たしかにそのような製造業の会社もあります。
この場合は、結論からいえば、「どちらでも良い」のです。
建設業に比べて不公平なように感じるかもしれませんね。
でも、仕方ないのです。その会社が一品生産だけかどうかの判定が難しいことと、商品単価が建設業ほど高くないため、そうなっているのです。
 
でも、高額な一品生産品を作っている製造業の中には、個別原価計算を行わないと、的確に利益を管理することが出来ないと考え、個別原価方式を取っている会社もあります。
「一人屋台方式」という言葉を聞いたことがありますか?
製造業で単価の高い製品を作っている会社の中には、流れ作業を止めて、製品製造の大半を一人で行ってしまう方式を採っている会社があります。
こうした方式を「一人屋台方式」と呼びますが、建設業がモデルと言われています。
妙に“くすぐったい”ような感じがしますね。