「基本の原価管理術」(2の術)原価管理術

2018.02.23

 
少々物騒な話ですが、商売はよく戦争にたとえられます。
厳しい競争の中で、“生きるか死ぬか”だからでしょうか。
たしかに10年で10%以下しか生き残れないのなら戦争と言っても過言ではないでしょう。
ゆえに、孫子の兵法やランカスターなどの戦略理論が役に立つと考えられているのです。
 
ならば、いっそのこと、商売を戦争と考えてみましょうか。
「そんな過激な」と思いますか? そうですよね。
でも、難しい問題を考える場合は、極端な例をモデルとすることで考えを整理することができます。
その練習と思ってください。
 
商売を戦争に置き換えてみると、受注獲得の営業が「攻撃」原価や経費の管理が「防衛」といえます。
その防衛をさらに分けて考えると、経費の管理が「本営防衛」原価の管理が「前線防衛」と考えられます。
つまり「原価管理」とは、企業の最前線で利益を守る防衛機能なのです。
 
ところで、商売の種類によって、前線が見える商売と見えない商売とがあります。
その中で、建設業は「建設現場」という前線がはっきりと見える産業です。
それなのに、現場の原価を的確に管理できている会社が少ないのはどうしてでしょうか。
それで前線の防衛は大丈夫なのでしょうか。
 
 
 
「そんなことはない、ウチは的確に管理できている」と怒られるかもしれませんが、では、工事毎に“目標とする粗利益”は確保出来ていますか?
もし出来ていないのなら、防衛体制に穴が開いている可能性があります。
その穴を見つけ、的確な対処法で穴を塞ぐ。その方法が「原価管理術」です。
「術」と付けたのには訳があります。
 
単なる原価情報の管理ではなく、利用価値の高い情報を見極めて集める手法、そうして集めた情報を分析する手法分析した結果によって現場の穴を埋める手法などで構成されているから「術」と呼んでいるのです。
 
本シリーズは「基本の・・」ですから、“さわり”に過ぎません。
それでも、読んで損はありません。
今まで見逃していたことや新しい視点が見つかるはずです。
その上で、続編の「先鋭原価管理術」を学んでいただければと思います。
 
原価管理は、義務や命令で行う受け身の仕事ではありません。
現場を預かる者であれば分かるでしょう。大切な前線防衛の武器なのです。
武器と考えてこそ、もっと効果的な武器になるように磨いていこうと思うのではありませんか。