第8回:赤ちゃんの手

2008.08.01

 
 
今回はある小学校での小さな出来事を話題にしよう。
本当にあった話が下敷きである。

小学3年生のK子ちゃんは学校が大好きだった。
教室ではいつも手を挙げる活発な子だった。
K子ちゃんは国語が大好きで、授業中は一生懸命、先生の話を聞いていた。
ある時、大好きな国語のテストがあった。
K子ちゃんは「100点取ったる!」と張り切った。
翌日、テストの結果が配られた。
K子ちゃんは100点ではなかった。
残念そうな顔で答案用紙の×のところを見ていたK子ちゃんだが、
「あれっ」とした顔をし、次に「なんで?」という顔をした。
どうやら、自分の答えが間違えたとは思えない様子である。

テストの問題はこうである。
『以下の文の  に、正しい言葉を書きなさい』とあって、
  『(例) ヤツデ のようなお父さんの手』
   :
  『(2) のような赤ちゃんの手』
という問題である。

で、K子ちゃんの回答は・・
   『(2) マシュマロのような赤ちゃんの手』
となっていて、その上に赤く×マークが記されていた。
脳内道場の道場生のあなたなら、正解はお分かりであろう。

うん? 分からないって?
小学校からやり直し!!
そう、正解は「モミジ」である。
「モミジのような赤ちゃんの手」である。

友達の回答で答えを知ったK子ちゃんであったが・・
どうしても納得がいかない。
そこで、家に帰ってお父さんに答案用紙を見せて、聞いてみた。
K子ちゃんのお父さんは、しばらく答案用紙を見ていたが、K子ちゃんのほうを向いてこう言った。
「K子は、どうして、この答えを思いついたのかな?」
「前に、T美ちゃんのとこに遊びに行った時、赤ちゃんがいたんだよ。
かわいくて、その手をそっと触ったら、赤ちゃんがK子の手をぎゅっと握ったんだ。
ちょっとびっくりしたんだけど、柔らかくてマシュマロみたいだったんだ。
それを思い出して、「マシュマロ」って書いたんだけど・・・
お父さん、やっぱり間違いなのかな?」

それを聞いたお父さんはにっこりと笑って言った。
「そうか。そうだよね。赤ちゃんの手って、マシュマロみたいだよね」
お父さんは、赤鉛筆を持ってきて、
K子ちゃんの回答の上に大きく花丸を書き込みました。
「お父さんが100点をあげるよ」
K子ちゃんはうれしくて飛び跳ねました。
 
 

さて、道場生なら考えて欲しい。
教育の目的とは何であろうか。
知識習得がその一つであることは間違いないが、それは真の目的ではない。
人を慈しみ、地球を愛し、広大な宇宙に思いを馳せ、人類の恒久平和を訴求する心を育てること。
道場主はそう考えている。
K子ちゃんのこの感性こそ大事に育てていくべきものなのだ。
この後のストーリーを自分なりに思い描いてみることを奨める。
また、類似の話を自分でも作ってみることを奨める。
それが思考鍛錬である。


※特別に道場主より一言※
本道場は『思考を鍛える道場』である。
本道場で真面目に鍛錬を積めば、人と相対しても負けない思考力を身につけるであろう。
しかし、上記のような感性を持たぬ者に来て欲しくはない。
今回の話は、この先の鍛錬を続ける資格があるかないかの分水嶺である。
心して、もう1回読んで欲しい。